重心位置とは?
人間の身体はそれぞれ見た目も違いますし、身体を支配する神経系統も違います。簡単にいえば右利き左利きのように。先ほども言いましたが重心位置も人それぞれ違うのです。では、そもそも重心位置とはなんなのでしょう?
重心位置とは、つま先側だったり、かかと側だったり。または、内側だったり外側だったり。これらの重心位置は人によって違いますが、必ず一人に一つ重心の位置が存在します。また、その位置は基本的に変わることはありません。重心の位置がそこにあることによって体の使い方から骨格、つきやすい筋肉まで変わってきます。正しい位置に重心があるときに、人は安定する。または、安定して正しく動作を行うことが出来ます。身体が安定して正しく動作できるということは、基本的に身体も神経系統も(脳も)リラックスしていなければなりません。重心を正しく位置することにより、身体はフリーな状態になるのです。武道で言えば「自然体」と言うことでしょうか。
自分の重心位置にしっかりと重心を持ってくることによって、あらゆる動作に瞬間的に反応することが出来、しっかりと身体を連動して動作を行うことが出来るのです。
重心位置によるタイプ別トレーニングフォーム
重心は大きく分けてつま先内側、つま先外側、かかと内側、かかと外側の4つに分類されます。細かく分けるともっとありますが分かりやすくするために4つに分類します(図1)。それらの重心位置によって、トレーニングフォームが大きく変わってきます。つまり身体の使い方が全然違うのです。

よく考えてみたらそれは凄くおかしなことです。例えば、野球のバッティングなどが説明しやすいでしょうか。バットを握って、投げてくるボールに対してバットを振る。という動作ですが、選手によってその構えや握り方、身体の動かし方、スタンスなどは全然違いますし、意識も全く違うと思います。なぜフォームがそれぞれ違うのか?いくつか要因はあると思いますが、そのひとつとして、やはり各選手の重心位置の違いと言うことがあげられると思います。もちろんバッティングには基本と言うものがあり、それを踏まえた上で各個人に向いたフォームを作り上げていく作業があるのは当然のことです。ですからスクワット、ベンチプレス、デッドリフトでも唯一理想のフォームはこれだ!というものは存在しないのです。

理論は日々進化していくもの
バッティングの理論も今と昔、または日本とメジャーリーグでは全然違うことでしょう。これは野球に限ったことではなく、あらゆるスポーツでフォームや理論は日々進化しているのです。昔はタブーとされていたことが現在では正しいとされていることってたくさんありますよね。
では、これと同じことをウエイトトレーニングで考えるとどうでしょう?スクワット、ベンチプレス、デッドリフトのフォーム解説をウエイトトレーニング専門書で見てみると、10年前、いや、20年前、それ以上昔からフォームに関する解説は全く変わっていません。同じような説明が色々な本で繰り返し書かれているだけです。スクワット、ベンチプレス、デッドリフトはBIG3などと呼ばれ、大切な種目ですと言われているのに、その理論は全く進歩していないのです。僕はパワーリフティング競技で、初めて海外遠征をしたのが、20歳の時でした、それから約12年間、海外でトップ選手のフォームを間近で観てきました。10年前と比べると、世界のトップリフター達のフォームは格段に進化しています。強い選手で、昔から書かれているスクワット、ベンチプレス、デッドリフトのフォームをしている人はまずいません。トレーニング解説書で一般的に良いと言われているフォームを誰もしていないのです。これはどう解釈すればいいのでしょうか?パワーリフティングが重いものを挙げるための競技だからフォームも特殊なのでしょうか?よく考えてみてください。重いものを挙げるからこそ、効率の良いフォームで負荷を分散させなければダメなのです。分散できないようなフォームだったら、すぐに怪我をしてしまいます。重いものを持っても怪我をしないフォームこそ理想のフォームではないでしょうか?世界トップリフター達は皆そのようなフォームで行っています。その証拠に、世界大会であれだけたくさんの選手が限界ギリギリの重量に挑戦しても、大きな怪我をする選手はほとんどいないのです。彼らが皆重心のことを考えてフォームを作っているかはわかりませんが、確かにいえることは、皆非常に理にかなったフォームをしていると言うことです。ですから、世界大会に参加すると毎回もの凄く勉強になり、たくさんのことを吸収できるのです。
重心位置の探し方(07.2.10改定)
理想的なフォームを身につけるための第一歩である重心位置の探し方を、正しく行わなければフォーム作りは始まりません。つまり正しい自分の重心位置を把握することが非常に大切なのです。重心位置の探し方は色々ありますが、知識の無い者が闇雲に判定テストを行ってもなかなか正しい重心位置は出てきません。ある程度の法則に則って、いくつかの判定テストを複合的に行い、重心を判定します。
重心判定は、『つま先・かかと』と『内側・外側』をそれぞれ調べます。以前このページで紹介していた判定法も参考にしていただいて構いませんが、今回紹介する判定法は、今までノーリミッツで行ってきた判定法の中で、比較的簡単で誰が行っても判定確立の高いものをいくつか紹介します。
以下にそれを紹介します。『つま先重心、かかと重心を見分ける方法その1』
これは以前紹介していたつま先立ちによる判定法を進化させたものです。靴を脱いで肩幅程度にリラックスして立ちます。写真1のように首の後ろを誰かに指で障ってもらい、その状態から何も意識しないで、つま先立ちをします。このとき指で触っている人は、指の位置を動かさないように注意しましょう。写真2のように指から体が離れないでつま先立ちが出来る人は『つま先重心』。写真3のように指から体が離れていってしまう人は『かかと重心』となります。また、指から体を離さないようにしようとするあまり、体が反った状態になる人も『かかと重心』です。
『つま先重心、かかと重心を見分ける方法その2』
肩幅より少し広く立ち、その状態からしゃがませます。この時、膝と股関節の動きを中心に観察します。写真4のように股関節を後ろに引いてからしゃがみ始めて、写真5のような形に近いしゃがみをする人は『つま先重心』。写真6のように膝から折れ曲がってしゃがみ始め、写真7のような形に近いしゃがみをする人は『かかと重心』です。




『つま先重心、かかと重心を見分ける方法その3』
自然体で立ち、両腕を広げてツイストして調べる方法です。写真8のように両腕を肩の高さに水平に広げて、その状態でツイストしてみてください(写真9)。今度は写真10のように腕を45度くらいに広げ、その状態でツイストしてみてください(写真11)。どちらがやりやすく、また、ツイストの可動範囲も広かったでしょうか?腕を水平位置でやりやすかった人は『つま先重心』。45度でやりやすかった人は『かかと重心』です。
ただし、この方法は自分で感じる可動範囲の大きさや、やりやすさと、客観的に見てもらった可動範囲で逆の意見が出る場合がありますので、その場合は、客観的に見てもらって可動範囲の広いほうを自分の重心位置としましょう。
『内側重心、外側重心を見分ける方法その1』
先ほどのツイストで調べる判定方法を利用して、今度は『内側・外側』重心を調べます。写真12のように足の外側に重心をかけて、ツイストします(写真13)。逆に、写真14のように足の内側に重心をかけてツイストします(写真15)。両方とも行ってみてスムーズにツイストが行える方を探します。この場合、外側に重心をかけてツイストがしやすければ当然『外側重心』ですし、内側なら『内側重心』となります。







以上の方法を全て試してみてつま先かか、かとかを判定してみてください。
次に内側外側の判定方法を説明します。



軽いダンベルでサイドレイズの動きをして判定する方法です。
女性なら1~2kg、男性なら2~3kg程度の軽いダンベルを使います。これは片腕でも良いですし、両腕でも良いです。最初に普通にサイドレイズを行います(写真16)。次に握り方を二種類変えてサイドレイズしてみます。最初は写真17のように人差し指、中指、親指の三本を握ってサイドレイズしてみます。次に写真18のように中指、薬指、親指の三本を握ってサイドレイズします。どちらがしっくりと握れて、サイドレイズ自体もやりやすいかを感じ取ります。写真17の人差し指、中指、親指の三本がやりやすければ『内側重心』、逆に写真18のように中指、薬指、親指の三本がやりやすければ『外側重心』となります。


『内側重心、外側重心を見分ける方法その3』
肩の可動範囲で調べる方法。
先ほどの握りを利用して、肩の可動範囲で調べる方法を紹介します。
写真19のように肘を直角に曲げてポジションを取ります。この状態で、先ほど紹介した握り方、内側の握り(写真20)、外側の握り(写真21)のそれぞれで、後ろに腕を回外させて肩の可動範囲の違いを感じ取ります。自分でわからない人は誰かに客観的に見てもらって可動範囲の違いを教えてもらってください。自分の重心位置の握りで回外させた時のほうがスムーズに可動します。当然この判定結果も内側の握りでやりやすければ『内側重心』、外側であれば『外側重心』です。




以上、重心を調べる方法を、「つま先・かかと」で三種類。「内側・外側」で三種類紹介しました。先入観を持たずに調べれば必ず判定はできます。完全に足の中心に重心があると言う人は殆どいないと思います。(実際僕はまだそのような人に合っていませが、いないとは言い切れません。)ただ、つま先とかかとのほぼ中心とか、内側と外側のほぼ中心と言った人は、多少いました。このような場合、ある程度自分が動きやすいフォームのタイプを優先した方が良いでしょう。ただし、自分で勝手に思い込むのは危険なので、客観的に観てもらい総合的に判断すると良いでしょう。
この他にも詳しく調べる方法はまだまだたくさんあります。股関節の動きを見る方法、肩甲骨の可動を見る方法、肩の動きを見る方法など少し難しい判別方法もあります。僕を含めノーリミッツスタッフは出来ますが、ある程度経験をつまないと難しい方法といえるでしょう。
ノーリミッツではしっかりとした重心判別を行った上で、それらのタイプに遭ったフォームをその人の筋力バランス、柔軟性、運動センスに応じて個々に指導していきます。タイプに合ったフォームでトレーニングすると、筋力はもちろんですが、身体の使い方も上手になりますし、疲れがたまりにくい身体になります。これは非常に大切なことです。パワーリフティングの大会などでも試合が終わるともの凄いダメージでしばらくまともに動けないという人が多いと思いますが、ノーリミッツの選手は次の日からピンピンしています。これはひとえにしっかりと身体を連動して使い、疲労を溜め込まないからといえるでしょう。皆さんも重心別・タイプ別トレーニングに興味がありましたら、お気軽にノーリミッツにトレーニングしに来て下さい。きっと新しい感覚を得ることでしょう!!

